等級について

 中国茶の等級について、解説します。
中国茶は、次によりランク分類され、扱われます。

※写真付き

銘柄(茶名): 茶の名前、銘柄。(例:龍井、毛峰)
   それぞれ下記が存在します。

品種: 茶樹の品種。(例:龍井の場合だと龍井43号、龍井長葉種、貢字龍井など)
産地: 茶葉の産地。(例:西湖、黄山)
収穫年: 生産(摘んだ)年。(例:2002年、2003年)
時期: 収穫日。(例:明前、雨前、雨後)
摘方: 茶葉の摘んだ形状。(例:雀舌、1芽2葉)
等級: 級数です。これば記号表記される(例:特級、1級、2級)

分かりにくいと思われるものを、もう少し詳しく説明します。

1.産地
 大量生産されるものと地域限定のもので、どこまで産地を特定するか異なります。
 大量生産されるもの程、当然産地が重要になります。
 
・茶名の仕組: 産地はそのまま茶名と組み合わせて、銘柄になり場合が多いです。
  多くのパターンが、「産地」+「名前」
   名前:「銀針」「毛峰」「毛尖」「芽」「片」

○「龍井」の場合で説明します。
 ・龍井は「浙江省」の茶で、一般のものは杭州市の「(杭州)龍井」、東部の「(大佛)龍井」があります。
 名称が「龍井」とだけあるのは後述する「西湖龍井」以外の「杭州龍井」を指す事が多いです。
 ・「西湖龍井」は、杭州の中でも西湖龍井茶区(東部の西湖郷13村)のもののみを 「西湖」を指します。
 特に「獅子峰」「梅家塢」の茶葉は、最高級品です。
ランク順位:
 「獅子峰」>「梅家塢」>「西湖龍井」>「(杭州)龍井」

2.収穫年
 
当たり前なのにおろそかにされている部分です。当然、茶畑で摘んだ年を指し、缶や袋詰の商品加工されて年・時期ではありません。
 日本の緑茶は、生産者・メーカーの努力で当たり前に新茶を得ていますが、国内で売られている中国茶をその感覚でいるのは誤りです。
 
3.時期
 
茶畑から摘む時期でが、省により、地域差がありますが、摘む時期で次があります。
 明前:清明節前(4月5日前)
   初摘:その中でも最初に摘む「初摘」(ファーストフラッシュ)ものがあります。
     ※日本の緑茶でいうと「八十八夜」に摘むもの
 雨前:穀雨節の前に摘むもの。清明節(4/5頃)と穀雨節(4/20頃)の間
 雨後:穀雨節の後に摘むもの。
茶畑の面積が小さい産地は、明前しか存在しません(獅子峰など)。また、最初、良い所を摘んでしまうので、当然後半になると「芽」の部分はなくなります。

4..摘方
ランク順位は次です。なお、特級以上の時に指定されます。
 [蓮芯(一芯)] >[旗槍または雀舌(一芯一葉)] >[龍冠または鷹爪(一芯二葉)]
※なお、[旗槍] [龍冠] [鷹爪]は、龍井に限ってつけらています。

5.等級
最高級のものは、「4.」の内容で指定されます。
以下、[特1] [特2] [特3] [1級] [2級] ・・・[7級]
「形状」が美しいのはやはり特級(特○含む)以上です。俗に美人とされます。
級数が下がれば、「形状」が悪くなり、葉だけや葉の細切れ状態、粉茶状態になってていきます。また、「色」が緑から「黄」「黒」が入ってきます。
最下級に行くとふるいにかけられた残りです。

形状、色、変化(湯の中で遊ぶ)をも見て楽しむ高級中国茶。日常飲む茶。(後述しますが)茶葉は見ずに原材料としての茶。それぞれ等級が異なってもいろいろな用途で使用されます。

※「極上」とう名称のランクは、ありません。あるのは日本人向けにどれかのランクのものを示しているにすぎません。中国産のもので、中国でも日本でも「極上」とついていたら、先ずは疑った方が良いです。
※全ての銘柄には全ての等級が存在しているわけではありません。
 中国緑茶の代表的な「龍井」「黄山毛峰」ではこまかく等級分けされて存在します。
※[特1]などの数字の違いは、「時期(※詰んだ日付)」の違いで分けられています。
※[4級]までが缶やパッケージに加工されて売られます(2−4級のものは級数が明記されてなく売られています)。
※特級以上は、グラム売り又は化粧箱、工芸品の器等に入れられ流通されていきます。
※5級以下は、材料用です。ペットボトルや缶のものの原材料は[5級]、[6級]らしいです。なお、形状が悪いだけで茶葉を見て飲むわけではないので、抽出時に「味」が確実にでれば良いのです。

6.その他
緑茶でのランクを述べましたが、次の扱いを特に最高級のものにしています。
青茶の場合:
・「礼品」「正叢」など特級以上の場合に用いています。
正叢観音王:鉄観音の最高ランクとして
紅茶の場合:
・「礼品(禮品)」を特級以上の場合に用いています。意味は政府御用達用です。
禮茶祁門工夫など
黒茶の場合:
年代物を貴重としています。その他に若年の「散茶」は次のランクがあります。
[大金竜] >[宮廷] >[特級]>[1級]・・・
これは茶葉を見れば一目瞭然の違いがあります。
有機茶の場合:
現在生産されているのは緑茶ですが、その場合、「超特」「清品」「名牌」「一類名優」ほか特級よりはるかに高級である様な等級名称をつけています。これは今の時代だけの例外とみてください。
理由は、・生産量が少ない(茶畑の一部でのみ栽培) ・生産者が多大な努力をしている ・認証機関の指導(特級より上位として取扱) ・(生産量が少ない関係)初摘、明前ものばかり。などです。
なお、例外等級以外にも[1級]などもチャント存在します。

(注意)なお、あくまで中国の場合で記載しています。台湾の茶葉のランクはあえて書きません。

西湖龍井、龍井 茶葉写真

次の順番で並べています。※写真をクリックすると拡大写真で見ることができます。その形状の違いが分かるかと思います。
[獅峰 雀舌] [獅峰 特3] [梅家塢 特級] [梅家塢 特1] [梅家塢 特2]
[梅家塢 特3] [梅家塢 1級] [梅家塢 2級] [西湖(区)特1] [西湖(区)特2]
[龍井 特1] [龍井 1級] [龍井 2級] [龍井 3級] [龍井 4級]

ご注意:
 「龍井」と「西湖龍井」と「獅峰(西湖)龍井」は明確に違います。
多くの店がブランド名としてのみ名称使用で、産地不明確で売られている場合が多いです。
「龍井」の産地として(1981年時点において)西湖区茶園は東部(西湖郷13村)、西部(龍塢郷11村、留下鎮10村)、南部(轉塘鎮23村、周浦郷17村)、その他1村。
そのなかでの「西湖龍井」を称せる前述の西湖郷13村は次です。
梅家塢、龍井、翁家山、楊梅嶺、九渓、梵村、満覚隴、双峰、茅家埠、頭隠、玉泉、金沙港、南山
#それより昔は次を指して「西湖龍井」としていました(行政区分の変更前)。
 「獅子峰」「梅家塢」「龍井」「虎[足包]※」「雲棲」
  ※足辺に包むの一字
茶園の広さは有限です。茶園の違いは品質の違いでもあり、かつ良いお茶ほど重要視します。
「獅峰」は、伝統的な茶園が存在します。こちらは伝統の意味が強いです。
 等級も同様です。ショップ等級が横行して「極品」「極上」「上級」「超○級」など中国では意味を持たない等級が横行していますが、ランクとして有名銘柄は意味を持たない、ランクは違う所が重要です。
 ※例で上げた等級で売られている、また等級不明の場合は等級の信義をよく確かめられる事をお勧めします。

 時期は重要です。時期明示されていない茶葉は「新茶(その年のお茶という意味で)」、「明前」ものでは、まず無いです。

 不明確なのは、中国で明確に等級に対する法規制が無い、省によりまた扱いが異なることにも起因しますが、ランクに関して曖昧にして販売している小売店にもあります。
 ブランドものほど偽物が横行しているのが現状です。有名なのが黄茶の代表銘柄である「君山銀針」の偽物。生産量300 Kg〜400 Kgのものが大量に流通される要因がなく、加工工程を省略しているものが出回っています。